１．はじめに

２．ひび割れの種類と重症度

　　①ヘアークラック

　　②乾燥クラック

　　③構造クラック

　　④開口クラック

３．ひび割れが起こすリスク

　　①躯体の劣化

　　②建物の耐久性低下

　　③湿気によるカビの発生

　　④雨漏り

４．ひび割れの補修方法

　　①塗装

　　②シーリング

　　③カット工法（Vカット・Uカット）

５．DIYで補修する際の注意点

６．まとめ

１．はじめに

ひび割れは、塗装業界や建築業界では「クラック」と呼ばれています。

外壁には細かいひび割れ（クラック）が発生しやすく、比較的見つけやすいため、「補修した方が良いのかも？」と心配になる方も多くいらっしゃるかと思われます。

確かに、早急な補修が必要なひび割れが多いですが実はそうでないひび割れもあります。

またひび割れにも種類があり、その原因や適した補修方法も様々です。

今回は、外壁のひび割れについて解説していきます！

２．ひび割れの種類と重症度

前述した通り、ひび割れには種類があり、原因や補修方法も様々です。

今回は、４種類のひび割れを解説します。

①ヘアークラック

幅0.3ｍｍ以下・深さ4ｍｍ以下のひび割れ（クラック）を指し、髪の毛ほどの細いひび割れのため、ヘアークラックと呼ばれています。

ひび割れは浅く下地へ届いていないため、構造体への影響や雨漏りの心配はありません。

緊急性の低いひび割れです。

原因として、塗装を行っている場合は塗膜の経年劣化があります。

塗膜は紫外線に弱く、また寒暖差により細かいひびが入りやすいため、こういった症状として表れやすいです。

そのため塗装で改善が可能な場合が多いです。

注意点として、進行してしまうと大きなひび割れになってしまうため、定期的なチェックが必要となります。

②乾燥クラック

ヘアークラックと似たひび割れで、モルタルやコンクリート等の水を使用する湿式工法の外壁に多く発生します。

湿式工法特有のひび割れで、施工の乾燥過程で水分が蒸発する際に収縮が起こることが原因になります。

しかし、乾燥しきればそれ以上はひび割れが広がることがないため、特に心配はありません。

③構造クラック

幅0.3ｍｍ以上のひび割れで、構造体へ影響を与える可能性の高い深刻な症状です

またこの大きさのひび割れは、外壁表面ではなく外壁材内部から割れてしまっているものが多いです。

建物自体の耐久性低下や腐食につながるため、へアークラックや乾燥クラックよりも重症で緊急性が高く、早急な補修が必要となります。

原因として、地震等の主に外的要因によるものが多いです。

建物へ外部からの力がかかり、内部から歪みや割れが発生してしまうことでこの症状が起こります。

また、微細なひび割れから構造クラックへ進行してしまうこともあるため、注意が必要です。

④開口クラック

窓や扉周辺に発生するひび割れです。

構造クラック同様、外部からの負荷により発生します。

また重症度も構造クラックと同じくらいに高く、雨水が侵入し雨漏りの原因になりやすいため早急な補修が必要となります。

３．ひび割れが起こすリスク

ヘアークラックや乾燥クラックは特に影響はありませんが、幅0.3ｍｍ以上の構造クラックや開口クラックは、建物に大きな影響を与えてしまいます。

①躯体の劣化

構造クラックや開口クラック等は、下地材までヒビが届いていることが多く、それにより建物を構造している躯体まで影響を与えてしまう場合があります。

外壁内部は水分に弱く、普段は塗膜等で守られています。

しかし、ひび割れにより隙間ができてしまうと雨水等の水分が侵入し、建物を支える躯体へ腐食やサビ等の悪影響を及ぼしてしまいます。

そうなってしまうと、建物内部からの構造の崩壊を招いてしまうことにもなりかねません。

②建物の耐久性低下

先ほど紹介したものに繋がりますが、躯体の劣化により、建物の耐久性も低下します。

さらに、外壁内部にある断熱材がダメになってしまう、防水紙を傷めてしまう等、侵入した水分により様々な部分の寿命が著しく劣化してしまいます。

また常に湿った状態になるとシロアリも発生しやすく、注意が必要です。

③湿気によるカビの発生

ひび割れによって外部から侵入した水分により、木材が長期間湿った状態になりそこからカビが発生してしまいます。

①の躯体の劣化にも繋がりますが、カビが発生してしまうとアレルギー等の人体への健康被害に発展してしまうことがあります。

④雨漏り

雨漏りは一般的に屋根からのイメージが強いですが、外壁のひび割れから発生してしまうことも珍しくありません。

さらに雨漏りが発生した事自体が分かりにくく、窓周辺以外の思わぬ箇所から雨水が出てくる場合もあるのでとても厄介な雨漏りといえます。

４．ひび割れの補修方法

①塗装

ヘアークラック等の幅0.3ｍｍ以下の微細なひび割れは、塗装で補修が可能です。

目立たないひび割れであれば、塗装工事によって見た目が良い状態で修繕ができ、さらに外壁の防水機能も復活するため、おすすめです。

②シーリング

少し進行したヘアークラックや軽度のひび割れには、シーリング材による補修が行われます。

ブラシで汚れを掻き出し、キレイな状態にした後に接着剤としてプライマーを塗布し、シーリング材を打設、平らにならして補修は完了です。

しかし、跡が目立ちやすく見た目の美観性を損なう上、シーリングは紫外線にとても弱く塗装しないと長持ちしないものが多いため、あくまで応急処置となります。

③カット工法（Vカット・Uカット）

幅0.3ｍｍ以上の構造クラック等に適応される補修方法です。

カットすることによって接着面を広げ、短期間に再度ひび割れを起こさないようにする効果があります。

電動工具（ディスクグラインダー）でひび割れに沿ってV型またはU形にカットし、溝をハケで掃除した後に接着剤としてプライマーを塗布、乾燥後にシーリング材を打設し平らにならして補修は完了です。

②のカットせずにシーリング材を打設するのみの補修方法に比べて跡が目立ちやすく、補修方法としては問題ないですが美観性が著しく損なわれてしまいます。

５．DIYで補修する際の注意点

・使用する材料

変性シリコーン系、ポリウレタン系のシーリング材を使用

※シリコーン系シーリング材は厳禁

シリコーン系シーリング材は台所やお風呂場等の水回りで使用するもので、外壁に使用してしまうと、塗替え時に塗膜剥離の原因となってしまいます。

・補修の注意点

前述した通り、シリコーン系シーリングの使用は厳禁です。

また、ひび割れ部分にシーリング材を完全には充填できず、早期にまたひび割れが再発してしまう場合があります。

特に、高い場所にあるひび割れ補修は、ハシゴからの落下の可能性があるためあまりオススメしません。

あくまで応急処置として捉え、本格的な補修はプロにお任せするようにしましょう。

６．まとめ

今回は、外壁のひび割れと補修方法について解説していきました。

ひび割れにも種類があり、またそれに適した補修方法があります。

また初期のひび割れでも、進行してしまうと雨漏りやカビの発生、建物の耐久性低下へつながってしまいます。

もしご心配な方は、専門の業者へご相談ください。

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